
独自の進化を歩むユクトランドの航空機
成歴1903年、新大陸で発明された飛行機という乗り物は時代の流れの中で、自然に戦争の道具として組み込まれていった。特に成歴1914年からの大陸大戦は飛行機同士が初めて戦闘を行ったという事に於いて非常に重要な役割を果たしたと言える。
ユクトランドに於いてはその中心的な機種はJuk-3「フライキャッチャー」となる。
フライキャッチャーといえば推進式プロペラ、水上機、そして水中用の安定翼というデザインにも大きく影響している機構の数々が挙げられる。開発の要件は諸説在るが、容易に想像できるのはユクトランド王国が水の豊かな国であり、その領地を有効に使おうと思えば水上を使うという考えに至るのはそれほど変な話では無いという事だ。
だがしかし、フライキャッチャーはその型番からも判るとおり、制式採用では3機種目の軍用機。そしてJuk-1「ロックダブ」、Juk-2「マーティン」は滑走路を使用する、通常の航空機だ。最初から水上機ではなかったのは技術上の問題だけではなく、その出発点も大きく影響している。
Juk-1「ロックダブ」
元々ユクトランド王国は航空技術を持っていなかった。そこでランブール王国からRf4E「コロンブ」を譲り受け、国内メーカーであったR社と共同で改修を行いロールアウトしたものがJuk-1「ロックダブ」である。単発複葉機で主翼形状が微妙に後退しているのが特徴。
そのコンパクトな機体はその後のユクトランド王国の航空機開発の方向性を決めたと言っても過言ではない。現に現在のR社の主力機は小型機がメインであり、レース専用機や小型ビジネス機、勿論戦闘機に至るまで、小型化というコンセプトを外した機体は皆無に等しい。
「ロックダブ」はそれまで船舶で行っていた島と島を繋ぐ連絡役を代替するような運用が為された。無線の無かった当時、連絡役としての用途は非常に重要で頻繁に運用された関係で、軽物資、特に郵便物も良く運ばれていた。一般には郵便物の扱いが有名で、民間の郵便物も扱っていた為郵便屋のシンボルマークとして親しまれた。
Juk-2「マーティン」
軽輸送機の次に開発されたのが偵察機のJuk-2「マーティン」である。初の、設計からオリジナルの機体となるが、設計思想は短距離離陸と速度向上であったという。
結果、現在で言うウルトラライトプレーンにカテゴライズされる大きさの機体となり、偵察専用機としての要件を満たした。小型でエンジンが非常にパワフルな為、当時の他の航空機に比べるとかなり高速であった。牽引式単発矩形翼の小型機で、エンジンは翼の上に付いている。
大戦中は胴体を伸張、エンジン性能を上げ、武器を搭載した「マーティンB」も造られ大戦前期の王国を支えた。
Juk-3「フライキャッチャー」

Juk-3「フライキャッチャー」は王国の機体としては大きなサイズであり、武器を搭載、運用を目的とした最初の「戦闘機」として開発された。
水上機の為、海軍でまず採用されたが陸軍も続いて採用し、陸軍内の航空隊編成に大きく影響したという。大戦後期の王国の主力機となる。

後に機体性能を上げた「フライキャッチャーB」が開発されるが生産数は少ない。
Juk-4「ロビン」
「フライキャッチャー」が水上機であった為、内陸側の国境警備に支障を来すと懸念を示した陸軍の要請を受けて開発したのがJuk-4「ロビン」である。胴体や尾翼の形状は著しく異なるが、フレーム構造は「フライキャッチャー」と酷似、エンジンも同系の物が使われ、フライキャッチャーの兄弟機と分類する研究者も居る。
陸軍主力機として大量配備された。
Juk-5「ワイルドグース」

王国初の爆撃機。三胴式の水上艇で、王国初の複座式機体となる。
反射鏡型の照準機の採用で砲撃手の作業を軽減、伝令管の装備でパイロットとの連携を高める等の効果を生んだ。
爆撃機としては小型であり、搭載量は200kg程であった。
複座であること、安定性に優れていたこと等が相まって、後に訓練機として活躍することになる。
以上が大戦~大戦後の混乱期に王国で開発された機体達である。
その設計に於いては王国主導、担当の企業があったものの、担当者の単独開発的な色合いが大きく、航空機としての方向性は要求さえ満たしていれば自由に設定できたようである。
まだ工業製品としての生産性を考えていた時代ではない為大量生産もされず、現存する機体は少ない。
「風色サーフ」本編では触れられない”裏設定”を紹介していきます。
ユクトランド陸軍
ロビュ小隊の所属する軍。島の多い王国では首都防衛と内陸側への睨みを利かせる方向に力が向く事が多いです。他国を攻める意思が無い為、防衛戦を主目的にしているふしがあります。
航空隊は主に航空兵力への応戦、偵察等が主な任務になります。オオルリの代替わりで配備されたロビンはオオルリとフレーム構造を共有した地上機。何故ロビンが採用されたかは…本編参照のこと。
オオルリについて
オオルリは正式名称を「Juk-3」、ペットネームが「フライキャッチャー」となります。オオルリの名前は作中で語られているとおりナカジマによる命名ですが、オオルリはそもそもフライキャッチャー(和名「ヒタキ」)の日本生息種になります。ヒタキは種類によって色が大きく変わりますが、オオルリのオスは綺麗な青色で、本作のオオルリの色からナカジマが連想したのはいいセンスではありますが彼にしてみれば割と当然のことだったのでしょう。小隊の面々がオオルリとしか呼んでいなかった理由はナカジマへの信頼もそうですが、フライキャッチャーの名を忘れたかったなにかがあったともとれますね。
機体型番の話
ユクトランド軍の機体はJuk-○という名前が通常となっています。○には番号が入り、ロールアウト順に型番が付けられていきます。改良機の場合B、Cと捕捉番号が付きます。採用順なので型番に抜けがないのが特徴と言えば特徴。
Jukと聞いて、ユンカース(こちらの型番はJあるいはJu)を思い出す方もいらっしゃると思いますが、一応関係ありません。ユクトランドの頭3文字から取っているだけなんですが、実在のユンカースも同じ頃に飛行機開発をしているんですよね。脳裏にはありましたが偶然です(笑)
ペットネームの話
作中、あるルートで主人公の手によって生み出された複座機「モルテン」は、正式採用された際に「ワイルドグース」というペットネームを与えられています。 これらの、オオルリやモルテンはペットネームではなくて部隊内の俗称となります。 オオルリは単純に鳥の名前、モルテンは……ペットネームをワイルドグースと後に呼ばれる機体に付けられた名前というのがヒント。
王国の航空機は陸上機が鳥一般、水上機は水鳥の名前を付けています。作中の時代ではまだ王国内で航空機の用途分類が出来ていない為全種このルールです。
